ポッキーの日その後のちび6と7
「お腹すいた」
「ななりー、ぽぽる!」
「ちび、帰ってきたのね。これは?」
「ぽっぽーぽるぽぽぽ!」
「ぽっきーというの」
ベリッ ボキボキボキッ
ちびロックマンはわかっていた。お腹が空いたナナリーが一本ずつ食べるわけないと。ポッキーゲームしようと言う暇もないことも。カケラが飛んでくることも。
「おいしいっ」
幸せそうに食べるナナリーを見るだけで幸せだから。
「全部食べちゃった」
「ぽぽる」
ちびロックマンはペロティーの悲劇を忘れてないので一箱しか渡してない。まだあると見せると、よこせと差し出す手を断れないので意味がないが。
「この長さは食べづらいでしょ」
「ぽぉ?」
「ほら」
ナナリーはポッキーを開け一本取り出し、ちびロックマンに向けた。パチクリと瞬きすると、ほらっとポッキーが揺れる。ちょっとドキドキしながら、ぱかりと口を開けるとポッキーが入ってきたので噛んだ。甘さが広がると同時に幸せも満ちる。
「ぽるっ!」
「美味しいわね」
「ぽる!」
もぐもぐしてごっくんと飲みこむと「ほらっ」とナナリーが新しいポッキーを差し出す。ちびロックマンは幸せそうに口を開けた。
近くて遠い異世界でポッキーゲームが五箱も食べ尽くすまで繰り広げたことを知るのは一週間後だった。