昨日のオマケ
読書に夢中だったナナリーは、もうすぐお昼だと気付く。
「そろそろご飯を作らないと」
(今日は私が作る!)
最近はアルウェスが作ってしまい、ナナリーは悔しい思いをしていたのに、つい本に夢中になってしまった。慌ててドアを開けると、子供の頃によく聞いた音楽が聞こえてきた。
「あ、読み終わったの?」
ニュース以外でテレビがついているのは珍しかった。そして画面に映っているのは顔がアンパンのヒーローのアニメだったのでナナリーは夢を見ているのかと頬を抓る。
「何してるの?」
「何って、アンタ、それ……」
「見たいって言うから」
アルウェスの膝の上にはちびロックマンが座り真剣な顔でテレビを見ていた。
「見たいって……」
「この前来た時に話をしたから。YouTubeで見せるつもりだったけど、ちょうど放送日だからテレビで見ることにしたんだ」
画面ではヒーローが自分の頭をちぎって弱っている人に食べさせている。ちびロックマンは目を丸くし、アルウェスの膝をぺしぺしと叩く。「言っただろ」とアルウェスの手が落ちないようにちびロックマンを支える。
「お昼、作るわよ」
「炊飯器セットしてあるから、おにぎりにしてあげて」
負けたと悔しい気持ちで握ったおにぎりはちびロックマンと同じ大きさの物になった。