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『精霊を統べる者』読みました。 

おもしれ~! ディテール面で、ジンの登場による歴史改変や、エジプト社会・文化習俗(とその変容)といったポイントは、知識が足りなくて半分も受け止められている気がせず、自分が楽しさを十全に引き出せたとは思えないのですが、それを抜きにしても、みっちり詰まった描写が凄まじく、クラクラしました。特に色彩とファッションの描写が非常に絢爛、綿密で、そこが主人公ファトマの「毎日違うスーツに着替えてくる超伊達者」という、個性や関心事から来ているのが分かるのも楽しいです。
異世界を舞台にした捜査物としての面白みも十分。ミステリ的趣向に目を向けると、捜査の丁寧さ&展開の素直さもあって、犯人(?)含めて大体先が読めてしまうのが難点と言えば難点かもしれません。しかし何より、女性同士のロマンス、連帯、関係性を含んだエンタメSFファンタジー小説としての期待に真っ向から応えてくれる作品で、非常に嬉しかった! 強いて言うならファトマとシティのロマンスシーンはもっとあって良かったと思うので、あと20ページくらいお願いしたいですね。解説によると二人の出会いを描いた短篇もある(作中でも言及あり)とのことなので、東京創元社さんの方に熱視線を送っております。

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