いただいておいて積んでいた(そういう本が沢山あり、申し訳ないと思っています)『ストラクチャーから書く小説再入門』をPART1の三幕構成解説まで読みました。
オタク的にはトリビアルな疑念が何点か浮かびましたが、非常に簡潔でわかりやすい三幕構成の解説書で嬉しいですね。当然と言えばそうでしょうが、小説用の調整が考えられているのも嬉しい。個人的には、これもトリビアルな話になりますが、インサイティング・インシデントとキイ・インシデントを明快に(分けた)解説が好ましいです。自分では長い間ぼんやりしていた部分だったので。
以下、トリビアルな疑念の具体例です。
・ターニングポイント(本著ではプロットポイント)の位置は各幕「中」ではなく「前」なのでは?(第1TPは第2幕前・第2TPは第3幕前)
・セントラル・クエスチョン(本著ではドラマチック・クエスチョン)の提示は原則キイ・インシデントにおいてじゃなかった? 文章構成の都合かもしれませんが、本著だとかなり前で提示するのを前提にして見えました。それとも事前に提示して「明確化」がキイ・インシデントという意図かな。
・「まとめ」の中にそこまでで出てない話が入っていることがあるような気が……。
あと良かったところとしては、「解決」と「エンディング」にしっかり筆を割いているところですね。映画脚本は小説よりもシンプルだし、尺が決まっているのと、近年はどんどん第三幕が短くなっているのもあってなのか、あまりクライマックス以降の第三幕について解説しないことが多い印象があるので。とはいえ、映画よりも複雑なプロットを持つことが多い小説にとっては、ここは肝だと思います。
PART2の「シーン」についてはざっと見た感じで未知の部分が多そうなので、今後も楽しみです。