『哀れなるものたち』p.171 l.4
「神秘的な奥義やら謎に頼るのは悪しき宗教だけだ。悪しき政府が秘密警察に頼るのと同じでね。真、善、美は神秘や謎ではない。それらは太陽の光や空気やパンのように、最もありきたりで、何より明々白々で、いちばん本質的な人生の事実なのだ。高いお金を払った教育のせいで頭の混乱している者たちだけが、真、善、美を珍しい個人の所有物だと思いこんでいる。自然はもっと気前がいい。宇宙は本質的なものを何ひとつとしてわれわれに隠しはしない。それはすべて、今ここに贈物として存在している。神とは宇宙に精神を加えたもの。神や宇宙や自然を神秘だと言う人は、神は嫉妬深いとか自然は怒っているという人と大差ない。結局、自分たちの孤独で混乱した精神状態を表明しているにすぎない」
ゴドウィン・バクスターの言。こういうスタンスの作品です!