CHARLES H. CARTER「BELGIAN "AUTONOMY" UNDER THE ARCHDUKES, 1598-1621」https://www.jstor.org/stable/1874287
読んだ。
アルブレヒト大公時代のスペイン領ネーデルラントの自立性についてのエッセイで、割と示唆に富むところが多い。
著者はベルギーの歴史家による自立性を強調する主張についてかなり批判的で、あくまで状況に応じてアルブレヒト自身が発揮した能力によってそう見えているだけとする。
面白いのはこの能力がフランドル駐留軍トップのアンブロージオ・スピノラやスペイン人であり、フランドルにおけるスペイン軍関係行政を行う機関のトップJuan de Mancicidorとの個人的な関係に依っていたと著者が捉えているっぽい点。
特にスペイン側の本来の意図としてはMancicidorは監視役だったろうにそれを取り込むことによってある程度自立してしまうという。
このエッセイ自体は1960年台のもののため、割と軍隊への影響力などについては古いんじゃないかと思うが、それでも面白い点が多かった。
はてなブログに投稿しました #はてなブログ
近世スペインにおける常備軍の誕生 - 三分の一 https://a3dayo.hatenablog.com/entry/2023/04/13/023315
https://www.historynet.com/military-history-matters/
この論考、体重300ポンドのミリオタが登場するあたりの加速度がすごくてそればかり印象に残ってしまう
Paul James Stewart『THE ARMY OF THE CATHOLIC KINGS:SPANISH
MILITARY ORGANIZATION AND ADMINISTRATION IN THE REIGN OF FERDINAND AND ISABELLA, 1474-1516.』読んだ。
フェルディナンド2世時代の軍事改革を扱った論文で1536年にテルシオが登場するまでの変化がかなり詳細に書かれてる。
元々都市の自衛組織だったHermandadが王権の下に組み込まれていく経緯や、軍隊の人事権を王室が握る経緯などは今までよく知らなかったのでありがたい。
イベリア半島沿岸部の要塞駐屯部隊の監督の話はかなり参考になり、「16世紀のスペイン軍の組織改革はイベリア半島で起こり、戦術改革はイタリア半島で起こった」とする見解の理解度がかなり深まった。
当初騎兵部隊が先行していた「常備軍化」が最終的に歩兵に波及する流れとして重要でもありそう。
1961年の論文だが他に類書もあまりなさそうなのでかなりいいものを読んだ。
近世欧州軍事史の本や論文を読む
あとサイバー戦とか。
https://a3dayo.hatenablog.com/about
https://bsky.app/profile/a3dayo.bsky.social