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『虎に翼』に登場する桂場等一郎(演者:松山ケンイチ)のモデルになった人物は石田和外なんですよね。この石田は若い頃からの天皇主義者で、さらには「英霊にこたえる会」や「日本会議」(の前身)の設立者という筋金入りの極右。
日本の極右活動を生涯かけて牽引した人物がモデルなのに、桂場の言動や思想は今のところ適切に批判的な描き方がされているとは私は思えなくて、むしろ視聴者間では「ツンツンしてるけど憎めない可愛らしいところのあるキャラ」として好感度が高そうなのが怖い。
これから桂場がどういう描かれ方をするのか(石田の作り上げた負の遺産を批判的に描く展開があるのか触れずに隠蔽するのか)を私はかなり注目して観ている……のだけど、もはや作中でどう描写されようと、ノンポリ層の勧誘に余念のない(そして財源のある)極右勢力が桂場というキャラの人気を見逃すわけがないだろうなと思っている。
おそらく今後、これ幸いと「桂場のモデル」という冠を被った「石田和外の伝記本/思想本」が何冊か刊行されるだろうし、そしたら『虎に翼』の視聴者の何割かは副読本として買うだろうし、そしたら『虎に翼』ファンで"フェミニスト"を自認してる人たちの中から極右に傾く人も出てくるんだろうな、とも思っている。他の作品のファンダムで何度かこの流れを見たので……。

史実を基にしたフィクションで、実在の人物をモデルにしたキャラが登場したり、実在の事件や犯罪を起こした(と作中では描かれる)キャラが登場する場合、そのキャラのファンがモデルの人物まで推してしまったり事件や犯罪を肯定してしまったりするの、いろんな作品で見てきたので不安だ。作品の流行りに乗じて「元ネタ本」っぽい立て付けで刊行されたヘイト本や極右思想本が売れてしまう(作品のファン/オタクが買うから)のも何度も見たし、そこから差別思想や陰謀論にハマってしまうファン/オタク層もたくさん見たので……。この数年だけでも複数の作品で……。

桂場等一郎、法曹での活躍(作中は共亜事件/元ネタは共亜事件)や経歴は石田和外をモデルにしていて、もう一人いるイメージモデルの草野豹一郎は治安維持法立案時の参事官だった……。
「桂場のモデルは石田だけでなく、専門部女子部法科で嘉子たちに刑事訴訟法を教え、のちに大審院(現在の最高裁判所)部長になった草野豹一郎のイメージも加わっている」
『虎に翼』が描く女性の「弱さ」と「強さ」…寅子の法服に込められた「自立」への思い : 読売新聞オンライン yomiuri.co.jp/column/japaneseh

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