『刀剣乱舞』における戦争犯罪の美化 

『刀剣乱舞』(過去にシナリオライターがファンダムを大東亜共栄圏と読んだり、スタンプラリーで靖国とコラボしたり、"我が国の歴史を守るための戦い"に琉球刀を参加させたりしている)に、新キャラとして孫六兼元という刀剣が登場した。
日中戦争で中国人を殺戮するための「百人斬り競争」というプロパガンダと戦争犯罪に使われた刀が「人斬りの花形」としてキャラ萌え消費されてるのをリアルタイムで見るのがキツすぎて凹んでいる。
公式からは「人斬り連中に何かと縁があって」 「気に入っているのは、だんだら模様の奴ら (新撰組)」 「旨い酒に旨い飯、 義理人情と多少の面倒事―そういうものに滅法弱い」 と説明され、戦国時代から幕末の"活躍"だけで装飾されており、この刀がほんの86年前(1937)に日帝により("支那人を一人でも多く殺すため"の)プロパガンダに使われ長く脚光浴びていた歴史は隠蔽されている。
さらに、このキャラ(孫六兼元)はゲーム中で戦闘狂の顔を覗かせ「敵を倒せとほっぽり出されたはいいが、あんなものをいくら斬ったところで満たされることはない」(強い奴との戦いしか楽しくないの意)というセリフを発しており、そりゃ中国人の捕虜や農民をいくら斬っても楽しくなったでしょうね……と暗澹たる気持ちに。

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『刀剣乱舞』における戦争犯罪の美化 

刀匠である関孫六(孫六兼元)の名が付いた包丁であるとか、現在の商品にまでは私は何も言うつもりはなくて。
ただ、日帝の戦争犯罪とプロパガンダに使われた武器そのものだった日本刀の孫六兼元そのものを、負の歴史を抹消し「人斬りの花形」などと称賛し、キャラクター化して商売すること(そしてファンを増やすこと)が、本当に醜悪かつ危ういと思っている。
日本による侵略戦争の歴史をあまりに軽視している(そしてそれが許される)風潮が日本全体にあり、昨年『ゴールデンカムイ』の展示会が日帝軍服を「本当にカッコいい!」と称賛してたのと同じく、それはオタク向けコンテンツとされる場にも顕著に出ている。
日帝のプロパガンダと戦争犯罪の象徴が再び支持されることも、侵略と戦争の歴史が漂白されていくことも、旧植民地ルーツの者として私は毎回恐ろしくて腹立たしくてたまらなくなる。
すぐに『刀剣乱舞』ファンダムで「百人斬り」も孫六兼元の"逸話"として日中戦争の頃と同じように持て囃されるのでしょう。斬り殺された中国人たちのことなど誰も気にも留めず、「人斬りの花形」キャラの箔をつけるだけの"設定"として。それが分かるからこそ凹まざるを得ないのよ。

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