地動説マンガ/アニメの『チ。』が古く悪きイメージで誤解されたままの「暗黒の中世」をベースに史実であるかのように語られているからよくないという歴史学方面からの批判があったようで。
(注:私は漫画の出だししか読んでおらず、たまたま担当編集者が漫画教室のゲスト講師だったというだけなので、まだ思い入れがどちらにもないです。)
史実と異なる点の指摘はしてよいだろう。どんどんすべき。しかし、それ「だけ」では作品批判にはならないとも思う。学術方面が戦うべきなのは、個々の作品(それもたまたまメジャーになった作品だけ)の批判よりも、いまだに払拭できない(というか私もたぶん誤解したまま)暗黒中世という、おそらくかつて歴史学が流布したのであろうイメージを自ら世間に対して間違った見方だと言い続けることではないかと思う。
しかし、大半の人は自分の興味のない地域・時代の歴史を学び直そうとはしないものだし、中学・高校で習ったことが全てということはよくある気はする。
興味を持ってもらい、現代の最新の知識にアップデートしてもらうためには、逆説的にやはりフィクションに頼るしかないのではないだろうか。
一本、古いステレオタイプに基づく作品があっても、同じ題材を別の視点で語る作品があれば、見方は成熟していくと思う。
三国志の時代を例にとるならば、演義、正史とそれらを下敷きにした多数の漫画、小説、映画、人形劇、ゲームがあり人物の解釈文字代の解釈も異なる。そういう多数のものに接していると、史実と正史と演義は別物、という視点をもった上で、フィクションもまた楽しめる域に達する。
そういう方向ではどうか。(どうか、とは?)