【ふと思い出すこと】中学3年の時、「不良」と言われるような不登校気味の同級生が、何か問題を起こしたのか職員室登校に。しばらくして、担任が「教室に来るよう呼びに行ってくれ」と私に。
そこで、職員室に行き、彼に「教室に行こうよ」と声をかけた。すると、彼は「恥ずかしい…」と。
その言葉を聞いて、「えー、なんで恥ずかしいのー? クラスメイトなのに!」と返した。やりとりの正確な言葉は忘れたけれど、「クラスメイト」という言葉を口にしたことは確かだ。
「クラスメイト」と口にしながら、優等生過ぎる言葉かなと思った。だから、もしかしたら彼は、そんな言葉に「ケッ!」と反発するんじゃないかとも。
でも、意外なことに、彼は照れながら、でも嬉しそうな顔をした。そして、教室に来てくれた。
…と書くといい話のようだけど、私がそのことを忘れられないのは、「クラスメイト」という言葉を使いながら、自分があざといように感じたからだ。
それから何年か経ち、ある公園で彼とばったり会った。彼はすぐに私と気づき声をかけてくれた。
あのときの私の言葉のチョイスには、ある種のあざとさがあったことは確かだ。でも、あのときの言葉に込めた気持ちは嘘ではなかった。彼は言葉そのものより、その気持ちを受け止めてくれたのかもしれない。