「七夕に願い事を、というのは趣があって良いけれど……迂闊な事は書かないほうがいい」
さらさらと葉の擦れる涼しげな音を聞き、色鮮やかに飾り付けられた笹を見ていると、歌仙兼定が隣にやって来て教えてくれた。
「僕ら刀剣男士は付喪神だ。例え審神者の力量がどうであれ、まがりなりにも神の一種だからね。人の子の他愛無い願い事を、善悪の区別なく、叶える力を内包している存在なんだよ」
そう言いながら、彼は短冊のひとつを指先でつつき「こんな願い事なら、むしろ叶えてあげたいけれどね」と微笑むのだった。
『夕餉は山盛り唐揚げ』