江戸川乱歩『鬼』
短編。『恐怖王』とほぼ同時期に書かれた作品。だけどこちらは上手く纏まっている……といってしまうと実に偉そうなんですが
想定外の事態、フリ、ミスリード、提示される幾つもの謎……それらをものともせずに鮮やかな推理で探偵役が解き明かす……そして何よりも重要な、犯行動機……この作品は、ある意味において本格探偵小説の王道……それでいて実に猟奇的……しかし読後感は悪くない……設定や発生事象に御都合主義的なものが例えあったとしても良いと思う……それこそがある意味において探偵小説の面白さを形成するひとつの要素なのだから……
着地点があれば物語はきちんと締まる、という感想を持ちました