あとこの前岩波文庫の『雪』読んだ。岩波新書の第一号が文庫化されたもので、いわゆる科学啓蒙書の古典中の古典という感じらしい。雪にまつわるエピソードや古典文学なんかも引用しつつ割と具体的に実験の手法や結果も書いてあってなかなか現代の本では見られない体裁。
著者の中谷宇吉郎は日本の雪研究の筆頭だったらしく、本書で説明してる飽和度と気温と雪の結晶の形態の相図あたりの成果に加えて、土が凍って隆起する凍上現象の研究でも有名らしい。で、この凍上現象というのも結構奥が深くて、土中に円盤型の氷が析出するのが原因なんだけど、土砂の粒子が毛細管的な役目を果たすような輸送現象で、理論的にも実験的にも色々含蓄があるみたい(https://ja.wikipedia.org/wiki/凍上)。わりと最近の論文とかも多くて、ひょっとすると修論や博論の定番のテーマなのかな。