面接で「問題への対処法をこしらえる」ときには、最初はなるべくその人の思考基準、価値判断に沿った形で(それらの延長線上にあるものを)こしらえた方がサポーティヴだと思うんだね。
例えば「知人やら信頼してた人に裏切られて人間不信になった」というときには、その人の「人間を不信に思う能力」を活用して、それを「どの人ならばある程度信頼できて、どのような人達には心許さないでおくかを判別する(アセスメントする)能力」へとバージョンアップできる方法を模索していくと良いと思うんだね。
その際には「人間不信に至った体験」が一定数あるわけだから、そのときの体験をヒントにする。過去の対人関係をもう一度セラピストと洗い直して「こういう特性をこちらが察知したら、相手はどうも怪しいやつのように思いますな」みたいことを検討する。
そうやって過去の体験を素材にあれこれ考えると何が良いかというと、そのなかで他者に対する観察力だけでなく、自分に対する観察眼も細やかになるんだね。「相手が唐突に私を排除しようとしてきたときに、そういや私もその人のことをちょっと嫌だなと思いはじめていて、でも“この人は信頼できる”と思い込もうとしていて、、、ちょっと嫌だなと感じていたのは◯◯という理由があって、、、」みたい自分に対する描写が細やかになる。
サポーティヴなセラピーというものは、表向きは外界操作能力の向上を目指しながら、その道程が同時に自己観察力や自己内対話能力の向上にもつながっているときに、もっとも質の良いものになるのだろうと思ったのだよなあ。