「愚息」とか「豚児」とか集団主義的に自分の息子を卑下する謙譲語があるわけだけど、私の父は私の妻を称えるときに「私の愚かな息子にはもったいない」というような表現を好む。しかし妻にとっては「義父が私の夫を貶めている」という感覚になるのだった。
私も待遇表現(いわゆる敬語)について「ウチ」「ソト」などの概念を学んで「父はあくまでウチの私を低めて妻に敬意を表しているのだ」とわかってはいても、今の時代にそんなへりくだりは不要だろうし人を褒めるのに他の誰かを下げることもないだろう。まして妻は儒教的な文化圏の人ではないのだから。
家では「君はお兄ちゃんだから弟に譲りなさい」と言われ、近所の子たちと遊ぶときは「お兄ちゃんたちの言うことを聞きなさい」と言われて育ったことが自分を縛る鎖になってきた。
ただし弟とは仲が良い。
弟は弟で真面目な優等生の兄と比べられて大変だったことだろう。
これ以上書くと家族史が始まりそうだからやめとこう。
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