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“――美しい花ですね。
と、声をかけた。娘さんは頬を赤く染めて、
――ダァリヤ、というのです。
と答えた。それだけで別れた。私はひどく心が浮き立つようだった。”

――梨木香歩『家守綺譚』「ダァリヤ」より

読んで以来、私もダリヤを内心でダァリヤと呼ぶようになった。

この部分は単純に娘さんと話せてウキウキしてるのではなく、役目を終えて帰還した犬のゴローとそのゴローにさえ困窮具合を気遣われる自分、黄泉と行き来する親友がいつの間にか帰ってしまっていたことの心細さから、主人公が却ってやけっぱちの明るさを奮っているところ。

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