遅ればせも遅ればせ、最終日に「バービー」を見てきたんですがね、見る前は「フェミニズム的な『読み方』や『分析』」があるのだろうな、と思っていたのだけど、分析も読み方もクソもないそのまんま、どストレートの表現にちょっと戸惑った。でも、ちょっと考えてみれば、この身も蓋もなさというのが、あえてやっているもので、このそのまんまさこそが、他の寓話的映画と一線を画するこの映画の強みなんだろうな、と思った。
ガーウィグ監督、レディバードや若草物語から見ても、もっと遠回しな、スマートな表現もできるのに、「洗脳されたバービーがフェミニストの言語化を聞いてピキーンと洗脳が解ける」なんていう、あまりにそのまんまな表現を使うのはわざとだと思うし、「賛否両論ある女児用オモチャの映画化にフェミニズム的含みを持たせる」と聞いてこっちが想像するエリアを一歩踏み出しているところが、この映画の特長なんだと思った。
あと、バービー世界の美的感覚というのは、一歩間違えればというか間違えなくても、子供っぽく悪趣味でケバケバしいもんだけど、それをギリギリで「バービーらしさ」と「大人が見てもおしゃれ」のバランスを取っていたのは見事だと思った。アカデミー賞で美術賞と衣装デザイン賞はぜひ獲ってほしい。