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「シブヤで目覚めて」というチェコの小説(翻訳)を読み終わりました。面白かった!
日本文学を研究している大学院生が主人公で(作者も日本文学研究者)、日本文化にさすがに通暁していて、(西欧人によくある)悪い所に目をつぶったオリエンタリズム的称賛でなく、かと言って「深く知って失望した」と言うわけでもなく、既に「異文化」とも言えないほど馴染んでいる、でも変わらずアウトサイダーであるという視点で日本文化を見ているあたりが面白かった。幽体離脱したティーンの主人公が渋谷をさまよいながら、周りにガン無視されているところ、それは主人公が「さまよえる魂」だからではあるが、ひょっとして、作者が日本で過ごした時に、都会の日本人のあの互いを徹底して無視し合っているところに感じた違和感を再現しているのかな、と思った。リアル。
しかし欠点もあって、主人公は大正時代の忘れられた作家を研究していて、この(架空の)作家の作品の引用が長く出てくるのだが、これが大正時代の私小説の再現としていかにもありそうでリアルなのだけど、だから、私からすりゃ退屈で、独りよがりで、何より出てくる女性の境遇が理不尽であることこの上ない。まあ大正時代の日本ならそうだろうと思うのだけど、それに対して現代女性たる主人公がどう感じているのかが書かれていなくて、

そのへんがもどかしいというか、どうなの?と思ってしまった...
でも、ユニークで面白い小説であるのは確か。

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