パワー・アレイ

初めての映画祭で初めての東京国際映画祭の最初の一本。

前途有望な新人の映画!って感じだった。フィルマークスのあらすじにもあるように”Never Rarely Sometimes Always(17歳の瞳に映る世界)”に似た展開になるけど、ブラジルでは中絶が違法なため、より暗いというか逃れようのない展開になり辛い。中絶させない団体もだし、中絶を許さない空気を発してる近所の人たち、嫌がらせの方法とかめちゃくちゃ酷かったな……。
しかしバレーボールのチームメイトたちがとにかくキャラが良くて全員が主人公ソフィアのために考え、行動してくれるのが頼もしかった。クィアなエナジーにも溢れていて、そういう面でも元気もらえる。妊娠が発覚した時の父親の反応は「やっぱりそういうやつなのか」ってガッカリしたけど、その後義母と話したらコロッと回心して常にソフィアを守る立場になってくれるのでそこは安心していい。妊娠させた当事者も一切登場せず「お前なんかに割く時間はない」っていう製作陣のスタンスが感じられる。

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ただ前述した通り、後半に行くにつれてどんどん「え、これどうすんの……?」っていう袋小路に入って行った結果、最悪の事態になってしまったところで怪我の功名というか、ソフィアの望んでいた結末が訪れた時の何とも言えない空気。でもそこで留まったりせずすぐさま前進し始めるように映画も高らかに音楽を鳴らし、人が踊り、愛を語らい、そして終わる。ここに「いや実際こうするしかないじゃん」っていうフィーリングがあった。ハッピーエンドであると言いたい。

アスペクト比は2.00:1。撮影は結構気をつかってる感じでデジタルだけど派手な色味が良かった。結構ぶつ切りの暗転が多用されてたけど、不安の表現として効果的なところとそうでもないところが混在してた。タイトルとエンドロールではピンクっぽい赤とオレンジが基調とされていたけど、レズビアン・プライド・フラッグをイメージしてるのかな。音楽もトラップとかヒップホップ中心で楽しかった。

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