誰も助けてくれない
監督『アンダーウォーター』の脚本の人なのか、なるほど……!
サイレント映画並みに台詞を廃しすべてを映像と音楽で物語る。クラシックホラーのテイストと今日的なジャンルシフトを同時にやってのけ、それだけでも凄いのに一人の人間が過去にけじめをつけるストーリーの隠喩にもなってるというとんでもないバランス感覚。新鮮なショットの連続、スピード感あふれる特撮・VFX、効果的な色の使い方、仰々しい音楽などなどなど……。特に今このタイミングで「グレイって気持ち悪いよね?」をド直球にやってきたのが素晴らしい。予算削減のためかもしれないけど身体比率をイジるだけで気持ち悪さのベクトルや対処方法も変わってくるところがアイデアの勝利。
そして何より、ケイトリン・デヴァーがもう最高過ぎる。下手すればただのギャグになりそうなテイストを絶妙のバランスに持っていく「不憫」感。超クロースアップの時の顔面の作り方に感動すら覚えた。「物理的に自分で自分のことを抱きしめることはできませんが自分に擬態して襲ってきたエイリアンを倒せば可能です」って発想は天才過ぎるんだけど、このシーンでのあの何とも言えない表情とか、やっぱりデヴァーありきのシーンだったと思う。制作総指揮もやってると知りもっと好きになった。