ちなみにこの作品における「女性」には異性装の人も含まれていた。綱渡りのシーンにいる人はトランス女性として描かれていたような気もする。小人症の人の演出は案内人的な立ち位置だったり赤いカーテンからの登場、この世の人ではなさそうな金属的な足音など、かなりデヴィッド・リンチを意識してしまうものだった。リンチは飛び道具的な使い方をしてしまってる印象があるけどオッティンガーはどうなんだろう。『フリーク・オルランド』ではたくさん小人症の役者が出演してるらしいけど。
また数々の超現実的な演出も好み。冒頭から「ベルリン〜 現実〜 現実〜」みたいな謎アナウンスに始まりありとあらゆる「こぼし方」を見せてくれてそのサービス精神に笑ってしまう。ヨーデルを歌ってる人がいる家に入っちゃうシーンや火に車で突っ込むシーン、「バキューン!」という音と共におじいさん?が倒れ込むシーンは爆笑。やってること自体というより次のシーンに行く時の間が面白い。目のアップとクローズアップを挟むシークエンスとそれを逆にやるシークエンスで挟まれた部分は公園でぼーーーっとしてたら思いついた妄想だったりするのかな?
鏡・窓と水を使った演出はシンプルに美しいなと思うし2回ある歌唱シーンは良い意味で鳥肌が立った。頭がジンジンした。詩がバトンタッチされていく流れも鮮やか。
あと音にすごく気を使ってる監督だなと思った。ただの足音でもよく聞くとリズムを刻んでたり金属的な音やガラスの割れる音のハイがちょうど良かった。ユーロスペースの音響のおかげでもあるか。パンフでもSEをストックしていった経緯とか語ってたしペーア・ラーベンの音楽も面白かった。
体力が無くて他の作品とハシゴできなかったのが惜しいけどぜひ他の映画館でも特集上映やってほしいし配信でも見たいしBlu-rayも欲しい。プンクテさん、よろしくお願いします!