Netflix『聖なる証』
『ザ・ルーム』と同じ原作の人と知って大納得。
あらゆる要素の混濁が一本の真っ直ぐで、それでいて絶対に折れないくらい太い線で突き抜けていく。「物は言いよう」ならぬ「物は語りよう」。映画にINし映画からOUTする。何を家の中にいれ、何を家から追い出すのか。カゴの中の鳥かどうかは自分で決める。息を吸い、息を吐く。
「メタ」とか「第四の壁」とか誰でも言える時代にここまでその必然性を映画全体でもって体現した作品があっただろうか。変にセットを全部作り物っぽくしたりせずにあくまでフィルム傷ぐらいに押さえているところが好き。imdbに何も撮影機材の情報がないのでフィルム撮影かどうかは不明。
そしてフローレンス・ピュー。絶対に負けないという信頼感のある女性がこの映画には必要だったんだなと思うしそれはもうフローレンス・ピューしかいない。捉えどころのないニアフ・アルガーも良かった。
そして音楽も良い……。一回も物語を邪魔しなかったしちゃんと1800年代の話を現代的に語るためのチューニングがサウンドメイキングによってなされていた。
これは今年の配信ならTOP3には確実に入る。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』みたいにクライテリオンがUHD化してくれないだろうか。