■『jem』創刊号・内容紹介(文学フリマ東京39まで小出しにして投稿していきます)
小特集〈東方幻想の世界〉として、フランク・オーウェンの短篇二作を高山直之さんの流麗な翻訳で掲載します。1920年代からアメリカの文芸誌〈Weird Tales〉に作品を発表し、今では半ばは忘却の淵に沈んだオーウェンの名を知る方は多くはないかもしれません。定期的なテレビ放送すら始まっていない時代、実際に中国へ行ったことが一度もないにもかかわらず、ほとんどは純粋な想像力を元に夢幻的な東洋を描き続けたという特異な作家です。普段わたしたちは、歪められた日本(人)像に出くわす度に居心地の悪さを覚えます。しかしアジアに関するひどく限られた知識にもかかわらず(ゆえに?)かくも霊妙な物語を紡ぎ続けたフランク・オーウェンの非凡さは、言語表現におけるエキゾティシズムそのものを問い直す力を持っています。