帰宅してこの号を書棚から引き抜くと、たしかにそこには、映画に登場した詩句と寸分変わらない行があった。ジョージアの知人に映画の感想をしたためると、数時間後に返事が返ってきた。「გამარჯობა, vadja pshavela is one of the most beloved poets in Georgia」「we studied some of his poems at school as well. He loved nature a lot…He has a lot of masterpieces」といった言葉とともに、ジョージア映画祭で上映されているほかのおすすめ作の名が、七作あった。
この知人が、「日本という国は誰でも知っている、私の国は知っている人すら少ない」と洩らしていたのが強く記憶に残っている。島田雅彦はアブラゼ作品について、「歴史には残らないエモーションが刻みつけられている」と述べているが、刻みつけられているものは、残して行けるものだと思う。