アニメ映画、「アリスとテレスのまぼろし工場」。独特の色気を湛えたユニークな作品として、わたしは買います。中学生の自分がどういう感情や不安定さを抱えながら生きていたか、いい意味で思い出させられたりもしました。白痴的二次元美少女の嘘くささを逆手に取りつつ、現代日本の地方の過疎化を直接に反映した廃墟美のなかで物語を推進させるのも個人的には興味深いです。学校の教室や廊下に貼られた標語やポスターにみちる純度100パーセントのクリシェや、一部秩父をモデルにしたとおぼしきシャッター街―ついぞ経験したことのない高度経済成長を遥か遠くに望む―を執拗に、風景のように描き込むスタイルにもなにかしら倒錯したものが感じられます。