#小説評
【スリーアミーゴス バッドカンパニー3】
実は、このシリーズの作者・深町秋生さんの警察もの/ヤクザもの小説は、別のシーズ/別の主人公/別のタイトルでも、アメコミ映画のMVCUシリーズが流行る以前から今で言う「ユニバース」システムになってるようで、こっちの主人公の話で、あるヤクザの組が潰れたせいで、別の主人公の話に以外な影響が……なんて展開が有ったりする。
で、本作は、やり手だが「恐怖」という感情が無いようにしか思えないサイコな女社長が経営するヤバい業務も引き受ける(社員には、一見すると普通のお婆ちゃん、実はベトナム戦争でゲリラやってたトラップの専門家、なんてのまで居る)探偵事務所の3人の社員の悲喜劇。
脳筋の元自衛隊特殊部隊員(退官後に経営してた飲食店を潰して借金まみれ)、元公安の冷徹な男(実は女社長に惚れてる)、成行きで契約社員になった地方の名門ヤクザのお嬢様(案外やり手だが、まだまだ、女社長の劣化コピー止まり)。
三者三様でサイコな社長にいいように使われてるが、結構、ハードな現実の社会問題を絡めつつ、ストレスなくスイスイ読めるエンタメの見本みたいな感じになってる。
ただ、シリーズ構成が前述の通りなので、この作者の小説は、ハマりだしたら、首まで沼にハマってしまう可能性が有るので御注意を……。