除湿機で結露させた水をフィルターで濾過するってことなんだろうけれど、結露させるための冷却にエネルギーがいるからゼロカーボンではないし、環境に良いのかも疑問だ。

自治体もNHKも科学リテラシーが無くて情けない。百歩譲って、これが科学的に正しく環境負荷が低減させられるのだとするなら、その肝となった技術なり、数値なりを記事に盛り込むはず。このような記事を出しておいて、もし、エセ科学だったら自治体やNHKは広報の片棒を担いだと言わざるを得ないと思う。

“空気から水“給水器を導入 1台1日最大33リットル 群馬 富岡 | NHK
www3.nhk.or.jp/news/html/20241

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案の定というか、水素水の案件だ。

環境負荷について研究している人に見せたら怒り心頭で卒倒しそうな感じのアピールの数々w

mugensui.jp/

weather newsの記事によると、「1本のペットボトル(500ml)の製造・廃棄・リサイクルにかかるCO2排出量は約119gで、ステンレス製マイボトル(500ml)を100回使う場合、1回あたりの排出量は約13.9gとされています。」とあるので、マイボトルを使うことで500mLあたり119-13.9=105gだけ排出量を抑制することができる。
weathernews.jp/s/topics/202312

さっきの無限水の装置は消費電力が380-1050Wで1時間に平均1ℓの水を作るらしいので、500mLに合わせると0.5時間で消費する電力量に対応するCO2排出量を計算すれば良いので、以下のwebページの数値を使えば82-228g。
keisan.casio.jp/exec/system/12

ただし、先のペットボトルやマイボトルの計算では装置の製造時のCO2排出量も考慮しているが、無限水の装置については一切考慮していない。よって、かなり理想的な状況下で、せいぜいCO2排出量が同じ程度、普通に考えればCO2排出量を増やすことになる。

まぁ、計算するまでも無く、除湿機で水を作るなんてエネルギーコストが高いことは想像できそうなもんだが。

そして、この手の会社の広告はちゃんとエセ科学っぽい表現をしているので、若干の科学リテラシーがあれば怪しいのは一目瞭然。

例えば、代表取締役の名前を検索して出てくる以下の記事には、「2027年をめどに、電源に繋がないモデルの無限水をリリースしようと考えています。無限水で作った水を使って発電し、その電力で無限水を動かすという、完全なスタンドアローンモデルです。水を使った発電の技術は、既に我々のパートナーが特許を持っていますから、それを実装する予定で進めています。」という永久機関みたいなことを、原理については言及せずに主張している。
spaceshipearth.jp/enell/

ちなみに1時間に1Lの水を作るというのも、外気の湿度がそれなりにあって、換気された部屋で装置にガンガン空気を送り込まないと難しいというのも感覚的に分かるのではないだろうか?

僕が以前使っていたコロナの大きな除湿機ですら1時間に1Lの除湿能力は無い上に、稼働させていれば部屋の湿度が下がってしまうので、当然除湿能力は湿度低下と共に落ちる。
corona.co.jp/aircon/dehumidifi

違う見方をしてみると、仮に広い部屋として10畳(約18m^2)の高さ3mの部屋を考えると部屋の空気の体積は54m^3。40度の猛暑で湿度100%だったとすると、飽和水蒸気量が51.1 g/m^3なので約2.5kg=2.5L。しかし20度の適温だと湿度100%として、飽和水蒸気量が17.2g/m^3なので900g=0.9Lくらい。快適な部屋だと湿度が60%として0.5Lくらいしか水蒸気が含まれていない。

これで毎時間1Lの水を空気から得るためには、30分ごとに10畳の広い部屋の空気に含まれる水を液体化するということ。

こういう計算をすれば、1時間あたり家の容積の0.5回換気を行う24時間換気をしている10畳くらいの部屋に対して、1-2Lの水を加湿器に入れて12時間くらいかけて放出するのでも部屋の湿度を10-20%くらいあげて快適にするには十分であるという感覚も分かると思う。

先の計算で言えば温度・湿度が快適な部屋として20度60%にするには0.5Lの水が必要。今の時期、外の冷たい空気に含まれる水分量を0と考えると、1時間に半分の空気が入れ替わるので0.25Lの水を供給してやれば良い。12時間ごとに加湿器に3Lの水を加えてやるという計算だ。

当然、壁に含まれる水分や料理・風呂で発生する水蒸気もあるので、一桁くらいは変わる、すごく大雑把な話だけどね。

1時間に1Lの水を取り出すのが、凄く大変っていう感覚さえ分かって貰えればw

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