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父との最後の思い出(宗教関連の話) 

去年のクリスマスイブ、母と長男と3人で今は亡き父に聖餐式の真似事をしたことを思い出し、今晩は、一人、赤ワインと種無しパンを食した。

本人の希望もあり、父を在宅で看取ることとしたのだが、数日前から食べることも水を飲むことも叶わない状況だった。時折、目を覚まし、天井に浮かぶ何かに驚くように目を見開いたかと思えば、また眠ってしまうという様子で、かろうじて、うつつに手をかけているものの、いつ、夢の世界へ旅立ってもおかしくなかった。

父は熱心なクリスチャンだったが、クリスマスということで牧師に連絡がつかず、せめて、家族で聖餐式をしようということになった。何度か、父から酵母の入らない種無しのパンの話を聞いていたこともあり、兄と一緒に種無しパンをフライパンで焼いた。

ワインを浸した布で父の唇を拭い、欠片とも言えないサイズの小さなパンを父の口に入れた。そこに、聖職者はいなかったが、厳粛な空気が流れていた。

その日の晩は、クリスマス音楽をベッドの横で流し、歌を口ずさみながら、朝まで手を握って父を見守った。

クリスマスの昼前、訪問介護で体を拭いてもらう中、すでに弱々しかった呼吸が止まったのに気づき、息をするのを忘れてるよと声をかけると、父は返事のように、最後に一呼吸した。

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