『早春スケッチブック』、河原崎長一郎演じる「普通のお父さん」が全然普通じゃなくて、一家全員が山崎努に傾倒している危うい状態で「あなたの話をちゃんと聞いてなかった」って冷静に山崎努と対峙するのも、そこでの山崎努が語る人生の悔恨に対して考えた上で「分からない」って答えるのも誠実で豪胆にすぎるし、その後善意からかなりぶっ飛んだ行動をとるのも全部凄い。その行動が山崎努を「俺の人生にこんなことはなかった」と喜ばせるところでめちゃくちゃに泣いてしまう。山崎努が「ありきたり」と蔑んできたものの内実を考え始める展開も良かったし、それが年の離れた二階堂千寿との友情を通じてなのも良かった……そして二人の父親が仲良く場を共有する姿が、息子にとって何かを乗り越えようとする姿としてきちんと伝えられたのも良かった……。