「私の意見では、文学的な幻想小説には文学において重要な役割があります。幻想小説とは芸術家の経験の総計であり、それは神秘的な魔法に驚いた彼らの問い、あるいは、恐怖の悲鳴といった形で表現されます。(中略)
幻想小説とは人間の奇蹟への、神秘への憧れの表現です――存在の〈向こう側〉に関する至高の問題を小説の形で把握する試み、生と〈彼岸〉との間に橋を掛ける試み、大きな果てしない〈謎の草原〉に侵入する試みであり、神聖な超自然的人間の系譜を調べることです。
そのうえ幻想小説は一種の避難所、不幸な人々や運命に恵まれない人々、ひどく失望した人々のための慰めの聖堂なのです。彼らが夢とおとぎ話の世界で見つけるのは、憧れていたあらゆる価値の改定と待ち焦がれた充足です。最後に幻想小説とは、日常生活の機械化と無味乾燥に対する夢の反応であり、日常生活の散文に対して反逆する魂の反応なのです。」
ステファン・グラビンスキ『火の書』、1930年のインタビューより。この時グラビンスキは結核の症状が進み、ベッドの中で受け答えをしていたそうです。とても美しく、瑞々しい言葉で幻想小説の魅力が語られている、と思ったので記しておきたくなりました。
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