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岡本喜八、『肉弾』を作ったきっかけが『日本のいちばん長い日』を読んだことで、自分が昭和20年に助かったのはどうしてか分かった、でもここには庶民の姿が描かれていないと思って脚本を書き始めたと、対談集『しどろもどろ』で石上三登志に語っている。色々あって『日本のいちばん長い日』も自分が監督することになってしまったのでこの2作は表裏一体なんですよね。『日本のいちばん長い日』にもごく短くだけど特攻隊の青年たちの姿が描かれる。戦争指導者の姿が美化されているという批判もある作品だけど、日本の敗戦を知らされないまま特攻に向かう青年たちの姿や監督が残すことにこだわった最後のテロップを読めば監督の戦争批判の意図は十分わかると思う。
私は少し前に女性象が苦手、と書いたけど、空襲による友人の死、自身もこの戦争で死ぬだろうという予感を越えて生き残ってしまった、その意味を終生考え続けた人の怒りに満ちた映画はこれから先もたくさんの人にずーっと見られてほしい。『肉弾』も『血と砂』も、安易な感動や感情移入を拒む怒りの噴出が凄まじくて、呆然としながら映画館をあとにしたことがいつまでたっても忘れられない。

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