『プリースト 悪魔を葬る者』
キム・ユンソクとカン・ドンウォンのコンビによる、繁華街の路地裏、古いアパートの一部屋で繰り広げられる悪魔祓いの物語。韓国のエクソシストものに先鞭をつけた作品で、主演の二人も悪魔に憑かれた女子高生を演じるパク・ソダムも素晴らしい。
何回も見ているけれど、見るたびになぜか勇気が出る映画。路地裏でひっそりと行われる世界を救う闘いは、褒賞も名誉もなく、例え無事に生き残ったとしても、得られるものは夜ごとの悪夢のみ。それを理解したうえで、それでも他人を救おうとする二人の姿に胸が熱くなる。
カン・ドンウォン演じるアガトがグレゴリオ聖歌を歌い、ユンソクが低く唱和する場面は、信仰心のみを武器に戦う行為をこんなふうに美しく描けるのか、と何度見ても感心します。
路地裏のアパートの暗闇から一歩出るとにぎやかな夜の街が広がっているというシチュエーションがたまらないし、街の明るさに逃げたアガトが闇の中に過去を見出す姿は感動的で美しい(もう少し葛藤を詳しく描いてもよいのでは、と思うが)。
キム・ユンソク、無頼な態度に隠した優しさの表現がまじで世界一上手な人だと思う。