スカウトとジェムの父、アティカス・フィンチもヒーローのような人だけど、最後の最後、子供たちを助けにもう一人のヒーローが現れる。常に物語の背後にいた彼が、子供を救うために世界に飛び出す葛藤を思うとどうしても泣けてしまってしょうがない。彼とはじめて対峙したスカウトの、やさしさと敬意に満ちた、叔母さんから強要されたレディらしさとは一線を画する立派な態度も、彼女の成長を理解させて胸に来る。
アティカス・フィンチ曰#く「ほかの人の靴を履き、歩きまわってみなければ、その人を本当に知ることはできない」。スカウトは彼との出会いによって、彼の立場でものを見ることを学ぶ。
ここで見えたものについてはもう語らないけれど、この物語が深い愛情を持って閉じられたことをとてもうれしく思う。