ハヤカワ版と学研版、翻訳の違いなど。物語に触れるので隠します
ハヤカワFTの鏡明訳はこの世界を構築する言葉をひとことたりともゆるがせにしない、という気合いに満ちており、はじめのほうは読みづらさもありましたが、物語の構造(現代のサーカスから神話の時代へ)が掴めてくるとぐいぐい読める。
金原瑞人訳はとにかく読みやすい。はじめから引っ掛かりなく読める。
ただ、とある登場人物のクライマックス後の言動の訳し方が、鏡明版のほうが切実な痛々しさを感じさせて好きなのです。
(これから読む方はどうか、どうかモリー・グルーをよろしく…! という気持ちがある。20代前半の青年が、どうして生活に疲れた中年女性の苦しみと救済を、あんなふうに描けるんだよ描いてくれてありがとうピーター・S・ビーグル、私ユニコーンとモリーにずっと助けてもらってたよ。新版が出たトゥート見て、そのことを思い出せて本当によかった)