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『切腹』 

念願の『切腹』を観た。
井伊家に現れ切腹を念願する浪人の仲代達矢と井伊家家老の三國連太郎との緊張感に満ちた論戦を通じ、武士道の矛盾と欺瞞を明らかにしていく作品である。
譜代大名の家老として武士道の論理を貫徹し、弱い立場の浪人を論破しようとする三國であるが、仲代の「Yes,But」話法によって次第に追い詰められていく様が非常に面白い。
ついには自家撞着に陥り暴力という解決を選ぶシーンは三國が背負う武士道の破綻と欺瞞を示しているとともに、三國の立場も危うくするものとなる。
だが、三國は不都合な真実を記録の捏造により、隠蔽する。仲代は精神に異常のある者として記録され、犠牲になった井伊家中の者は「病死」として、あるいは「病死」を強いられ、武家の体面は公式には傷つくことはない。まさに、「ペンは剣よりも強し」と言うところだ。
2時間以上の作品だが、緊張と謎に満ちた展開は飽きさせない。

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