"好奇心旺盛だった小学校高学年のころ、タンスの上にあった父のアルバムをこっそり見た。
マラソン大会でのさっそうとした姿。セピア色の兵隊の集合写真。駐屯した中国の田園風景。わくわくしながらページをめくる手が、止まった。
兵士に引き立てられた数人の男性が、見物人の前で首を切り落とされている続き写真。最後の1枚には、生首がいくつも転がっていた。
その後起きたことは、はっきり思い出せない。
重たい木の棒を握りしめた父に、何度も殴られた。母が「死んでしまう!」と悲鳴を上げた。
写真は誰が撮ったのか、なぜ父のアルバムに貼ってあったのか。いまも分からない。"
(戦争トラウマ:中)鬼になった父、胸の奥の記憶 同じような経験、語り合えた:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/DA3S15814380.html