マイケル・サンデルに、哲学者キム・ソンウクが聞くインタビュー記事。印象的な部分を記す。
japanese.joins.com/JArticle/31
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- 公共善について熟考することが本来の民主主義のあり方だ。現代の政治には熟考が抜け落ちている。その原因の一つが能力主義文化だ。

- 専門家が決定を下す技術官僚制(テクノクラシー)に陥ってはならない。共通善を念頭に、政治家が責任ある判断を下すことが必要だ。

- 政治家は市民、特に厳しい状況の人たちの話を共感を持って傾聴しなければならない。アリストテレスが語った実践的知恵と、ハンナ・アーレントが語った政治的判断力を備えなければならない。

- 大学はすべての学生に人文学を教えなければならない。文学・哲学・史学などと必ず接するようにすることは未来に向け絶対に必要だ。
(続く

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- 能力主義を盲信した結果が、経済的な二極化と不平等。このことで民主主義は弱まった。市民は怒り、無力感に陥っている。

- トランプは市民の怒りを利用した。それは民主主義を悪化させた。

- 勝者の成功は能力と努力のせいだけではなく、助けと幸運を伴う。勝者の謙遜が必要だ。弱者の失敗も、敗者だけのせいではない。

- 民主主義の危機を脱するには、米国の伝統である市民的共和主義自由概念が、制度と実践の両方で回復されなければならない。

感想:インタビュワーが専門家なので、サンデル教授の発言も密度が高くなっている印象を受けた。

能力主義の盲信、テクノクラシー、民主主義の危機、トランプ現象、公共善より形式と対立に向かす政治、これらの問題はすべて「つながっている」。その解決には人文学の成果が必要だとサンデル教授は考えている。現代の諸問題への議論を踏まえた結論といえる。

私は個人的に、サンデル教授の考えを「世界に蔓延する覇権主義・虚無主義・現実主義・能力主義の行き過ぎに対抗しようとする、新しい啓蒙主義」の一派と位置づけています。

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