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倫理学の2大派閥は功利主義と義務論。

功利主義は天秤で判断する。ある事柄の善悪を判定する上で、幸福と不幸のそれぞれの総量を計算し、幸福が上回れば善であるとする。判断コストが安いこと、社会の隅々に浸透した市場原理やゲーム理論と類似しており分かりやすいことが功利主義のメリット。一方、幸福の定義が人によって違うことがデメリット。

義務論は、カントの定言命法に見られるように、「義務」に沿って人の振る舞いの善悪を判定する。判断する人の立場に依らず一貫性があるロジックを提供することがメリットで、判断コストが功利主義に比べて高くなることがデメリット。

人権も義務論の流れを汲む。「すべての人の尊厳を守らなければならない」という義務から出発し、侵害してはならない人の権利を定義する。

私たちの社会の仕組みをラフに捉えるなら、功利主義と義務論を接続し、政治やビジネスのあらかたの領域は功利主義で低コストに判断するが、人権に抵触する領域は義務論でカバーしましょう、という仕組みになりつつある。

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