イーロン・マスク氏が「ユダヤ人代替の圧力」を主張したとの見出しの記事について。
(NHK)イーロン・マスク氏“Xの広告収入減はユダヤ人団体の圧力”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230905/k10014184171000.html
(Bloomberg)イーロン・マスク氏、Xの米広告収入低迷の主因はユダヤ人団体と主張
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-04/S0H8ZHT0G1KW01
記事内容はその通りなのだが、読者が受け取る情報量がやや少なめだ。マスク氏の言動は常識はずれなので、その点で情報を補足しておきたい。
マスク氏の発言(投稿)を時系列で見てみよう。
(1)はっきり言っておくが、私は言論の自由には賛成だが、反ユダヤ主義には反対だ。 (午前2:30 · 2023年9月5日 JST)
https://twitter.com/elonmusk/status/1698750300474016250
(2)買収以来、@ADLはこのプラットフォームと私を反ユダヤ主義者だと誣告し、このプラットフォームを潰そうとしている。(午前2:30 · 2023年9月5日 JST)
https://twitter.com/elonmusk/status/1698750300474016250
(注:ADL=名誉毀損防止同盟は、反ユダヤ言説を監視するヘイトスピーチ管理団体/人権団体。Twitter(X)のヘイトスピーチ放置を指摘してきた団体の一つ)
(続く
なお、マスク氏率いるX(旧Twitter)は、先に英国のヘイトスピーチ監視団体CCDH(Center for Countering Digital Hate、デジタル・ヘイト対策センター)に対して嫌がらせをした上で訴えている。経緯は下記記事に詳しく書いた。
https://globe.asahi.com/article/14981575
CCDHの次はADL、ということか。
X(Twitter)の広告売上げが回復しないのは、Xのヘイトスピーチが放置されており改善の見込みがないこと、それにマスク氏の言動が多くのスポンサーから見て不適切だからだ。だがマスク氏は「ヘイトスピーチ放置を指摘する監視団体のせいだ」と思い込んでいる様子だ。
●間違いがありました
「ユダヤ人代替の圧力」→「ユダヤ人団体の圧力」
ヘイトスピーチ管理団体→ヘイトスピーチ監視団体
マスク氏の投稿(2)のURLを訂正
https://twitter.com/elonmusk/status/1698754179148214495
●情報の追加
順番が前後するが、発言(3)の前のマスク氏投稿を追加。広告落ち込みの原因はADLだと主張。
(2b) 私たちの米国での広告収入は、主にADLによる広告主への圧力が原因で、まだ60%減少している(これは広告主が私たちに言っていることだ)!
(午前2:52 · 2023年9月5日)
https://twitter.com/elonmusk/status/1698755938541330907
●結び
Twitter(X)のヘイトスピーチ放置問題は深刻だ。例えば2023年1月、「反ユダヤ言説を放置した」としてドイツの市民団体がTwitterを訴えている。ドイツではヘイトスピーチ放置は厳罰。
だが、ヘイトスピーチ放置の事実をマスク氏率いるX(Twitter)は認めず「買収前より安全になった」と空虚な説明を繰り返している。
事実と正当性を無視し、自分たちの都合と刹那的な気分を優先。今後のX(Twitter)の不透明感は強い。