イーロン・マスク氏が「ユダヤ人代替の圧力」を主張したとの見出しの記事について。

(NHK)イーロン・マスク氏“Xの広告収入減はユダヤ人団体の圧力”
www3.nhk.or.jp/news/html/20230

(Bloomberg)イーロン・マスク氏、Xの米広告収入低迷の主因はユダヤ人団体と主張
bloomberg.co.jp/news/articles/

記事内容はその通りなのだが、読者が受け取る情報量がやや少なめだ。マスク氏の言動は常識はずれなので、その点で情報を補足しておきたい。

マスク氏の発言(投稿)を時系列で見てみよう。

(1)はっきり言っておくが、私は言論の自由には賛成だが、反ユダヤ主義には反対だ。 (午前2:30 · 2023年9月5日 JST)
twitter.com/elonmusk/status/16

(2)買収以来、@ADLはこのプラットフォームと私を反ユダヤ主義者だと誣告し、このプラットフォームを潰そうとしている。(午前2:30 · 2023年9月5日 JST)
twitter.com/elonmusk/status/16
(注:ADL=名誉毀損防止同盟は、反ユダヤ言説を監視するヘイトスピーチ管理団体/人権団体。Twitter(X)のヘイトスピーチ放置を指摘してきた団体の一つ)
(続く

(3)このようなことが続くようであれば、皮肉にも "名誉棄損防止 "同盟(ADL、反ユダヤヘイトスピーチ監視団体の名前)に対して名誉棄損訴訟を起こすしかないだろう。
もし彼らが名誉毀損訴訟で敗訴すれば、私たちは彼らの名前から "防止(anti) "の部分を削除するよう主張するだろう。
(午前2:59 · 2023年9月5日)
twitter.com/elonmusk/status/16

(4) (マスク氏投稿へのリプライで「民主党がボットで中傷をばらまいていることは『証明されている』と主張する投稿に対して)
洗練されたボットは事実上人間と見分けがつかないため、検証されていないアカウントでは、少人数なのか大人数なのかを見分けることは不可能だ。
検証されていないアカウントでは、文句を言っている組織が、文句を言っているものを作り出すことに何らかの形で加担しているかどうかを見分ける方法もない! (午前8:35 · 2023年9月5日 JST)
twitter.com/elonmusk/status/16

感想:投稿を見ればお分かりのように、マスク氏は冷静な常識人として振る舞っていない。衝動的・自己中心的に、ヘイトスピーチ監視団体の一つADLに腹を立てて「訴訟するぞ!」とスラップ訴訟をほのめかしているのだ。
(続く

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なお、マスク氏率いるX(旧Twitter)は、先に英国のヘイトスピーチ監視団体CCDH(Center for Countering Digital Hate、デジタル・ヘイト対策センター)に対して嫌がらせをした上で訴えている。経緯は下記記事に詳しく書いた。
globe.asahi.com/article/149815

CCDHの次はADL、ということか。

X(Twitter)の広告売上げが回復しないのは、Xのヘイトスピーチが放置されており改善の見込みがないこと、それにマスク氏の言動が多くのスポンサーから見て不適切だからだ。だがマスク氏は「ヘイトスピーチ放置を指摘する監視団体のせいだ」と思い込んでいる様子だ。

●間違いがありました

「ユダヤ人代替の圧力」→「ユダヤ人団体の圧力」
ヘイトスピーチ管理団体→ヘイトスピーチ監視団体

マスク氏の投稿(2)のURLを訂正
twitter.com/elonmusk/status/16

●情報の追加

順番が前後するが、発言(3)の前のマスク氏投稿を追加。広告落ち込みの原因はADLだと主張。

(2b) 私たちの米国での広告収入は、主にADLによる広告主への圧力が原因で、まだ60%減少している(これは広告主が私たちに言っていることだ)!
(午前2:52 · 2023年9月5日)
twitter.com/elonmusk/status/16

●結び

Twitter(X)のヘイトスピーチ放置問題は深刻だ。例えば2023年1月、「反ユダヤ言説を放置した」としてドイツの市民団体がTwitterを訴えている。ドイツではヘイトスピーチ放置は厳罰。

だが、ヘイトスピーチ放置の事実をマスク氏率いるX(Twitter)は認めず「買収前より安全になった」と空虚な説明を繰り返している。

事実と正当性を無視し、自分たちの都合と刹那的な気分を優先。今後のX(Twitter)の不透明感は強い。

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