香るエールと発酵レモンサワー #今日の晩酌
鉢屋
鉢屋三郎、一体いつから雷蔵の顔を借りてるのか知らんけど、長く借りてればそれだけ無意識的なところで雷蔵に似てくると思うんですよね
「最近雷蔵に似てきたな」ってしみじみ言われて、「変姿の術の腕が上がったからな」って答えたら、「そういうことじゃなくて」って返される三郎さんが見たい
現パロ 庄鉢
「先輩!」庄左ヱ門の声と防犯ブザーの音に弾かれるように三郎は冷静さを取り戻した。男が僅かに怯んだのもあって、握られていた手と掴まれた肩を渾身の力で振り払い、庄左ヱ門の手を取って公園から飛び出した。無我夢中で人通りのある大通りまで走り続け、ようやく立ち止まった。荒れた息を整えようと、思わず膝に手をつく。庄左ヱ門も肩で息をして三郎を見ている。「庄ちゃん」と口にした声が震えていた。あんなに走ったせいだ、と思いたかった。膝についた手も震えていた。「大丈夫?」自分がかけてやりたかった言葉が、小さな後輩の口から出てくる。なんとも答えられなくて、三郎は俯いた顔をあげられなかった。
無力だ、と思った。どうしようもなく、怖かった。
現パロ 庄鉢
放課後は公園で待ち合わせて鉢屋の家にいくようになった2人。あまり人気のない公園で、いつも庄左ヱ門が先に待っているから、三郎は心配だ。ある日、三郎がいつものように公園に行くと、庄左ヱ門が知らない男と話している。嫌な予感がして庄左ヱ門と男の間に割り込むようにして入る三郎。「この子になにか用ですか」精一杯冷静な声を出したつもりだったのに、庄左ヱ門が慌てたように三郎の服を掴む。その様子を気遣う前に、男は三郎の肩に触れ、手を握った。「キミのことを待ってたんだ」
ぞっとする三郎をまるで気にせず、男は三郎を公園のトイレに誘う。「壊れてしまったのか、うまく動かなくてね、助けて欲しいんだ」男の力は強く、肩と手を抑えられて身動きが取れない。無理矢理トイレの方へ連れて行かれる三郎。大声を出せばいい、もっと闇雲に逃げればいい、そう思うのに声は出ず、逃げられもしない。焦りばかりが募り、すっかり冷静さを失った時、背後で防犯ブザーがけたたましく鳴った。