トーハクで今出てる光太郎が「老人の首」「鯰」「魴鮄(ホウボウ)」なんだけども、これがよりにもよってなチョイスで。
まず老人の首。実は光雲が人の顔をつくるのが苦手で、光太郎が代わりにやってることがあったらしくて「半ば父の意志」で「自分勝手に作った首はそれに較べると僅か」だそうで、さてこの老人の首は光太郎らしいものと考えても良いのだろうか、とか。
鯰と魴鮄は随筆に「」付きで言及がある作品名(同じテーマでたくさんあるとかではないらしい)で、鯰は【困窮している知人に寄付したらその知人の千葉のパトロンが買った】とあって、なんともドラマが。そしてなんとホウボウに至っては、本人も自信作の1つだったようですが、昭和20年時点で「行方不明」と本人が宣っている作品なのです!(厳密には途中まで分かっててその後どうしたか知らないみたいな話)
トーハクに置かれてるこの3作品はどれも「手」のロダン感はないので、光雲と見比べてもそこまでダイナミックな違いを感じにくいかもしれない。老猿がでかいのに鯰やホウボウは小さいし。でも読んで見比べてってできるのはすごく贅沢な話だなと、よく知っている「手」も脳内に浮かべながらニヤニヤしてきました。楽しかった。