上間陽子『海をあげる』読了
凄絶で切実だった。ぼくはこの国に生きているにも関わらず、沖縄についてほんとうに何も知らないまま過ごしてきてしまったのだ。静かな文章の底で煮える絶望と怒りに胸を引き裂かれる。
今この時分に読んで、東京と秋田(基地の移設先として挙げられていた)、沖縄の相関がそのままヨーロッパとシオニスト、パレスチナの位置付けと同じであると思った。東京(首都圏)にあって、何も知らないまるで無関係と思い込んできた時間において、沖縄の問題について加害者なのだとも。
筆者に託された「海」を、受け取らなきゃならない。どう守るか考えながら、抱えていかなきゃならない。