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読書備忘録『世界哲学史 1』 

*ちくま新書(2020)
*伊藤邦武 他(編著)
古今東西の哲学・思想を「世界哲学」という主題で解釈するちくま新書の「世界哲学史」シリーズの起源は、世界哲学会大会を招致することを念頭に置いて提案した日本哲学界の理念にあった。世界哲学会大会は一九〇〇年のパリ大会以来、各国の哲学者が集まる国際学会として開催されてきたが、日本での開催は実現していない。この「世界哲学」という主題は将来の招致を目指すとともに世界哲学研究を推し進める哲学者たちの重要課題として掲げられている。では「世界哲学」とは如何なる理念なのか。大きくわけると「哲学史への反省」「哲学史の世界化」「世界哲学の歴史化」の三点だ。従来の哲学史は西洋哲学史とイコールで結び付けられて、主流からはずれる国々の思想は思想史に区別されていた。皮肉なことにグローバル化は哲学史に正統なる概念を植え付けてしまった。「世界哲学史」シリーズではその正統な哲学を解体し、世界規模で新たな哲学史=世界哲学史の構築を試みる。無論西洋哲学を蔑ろにするのではなく、哲学史における西洋哲学の重要性を認めながらより哲学の知識と理解を深めていく。

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