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読書備忘録『グアバの香り』 

*岩波書店(2013)
*ガブリエル・ガルシア=マルケス(著)
 プリニオ・アプレーヨ・メンドーサ(著)
*木村榮一(訳)
マジックリアリズム(魔術的リアリズム)とは超現実的現象を通して現実を表現する技法で、生来の語り部であるガブリエル・ガルシア=マルケスを象徴するものの一つにあげられる。その意味はラテンアメリカ文学とマジックリアリズムをイコールで結び付けるような大雑把な区別ではなく、想像力は現実的な世界を作るための道具であり、創造の源泉はあくまで現実にあるというガルシア=マルケス自身の言葉に立脚する。それではガルシア=マルケスの世界観は如何なるものなのか。回答は『グアバの香り』の中で語られている。小説に対する彼の認識は実生活で育まれていた。よく物語を聞かせてくれた祖母の語り口を再現することで世界的大作『百年の孤独』の文体は完成し、両親の逸話を素材にすることで『コレラの時代の愛』は誕生した。また、彼自身驚異的なエピソードを豊富に持っている点にも注目したい。親友メンドーサとの対談はガルシア=マルケスの起源を知ることのできる貴重な機会を与えてくれる本である。

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