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読書備忘録『人はなぜ物語を求めるのか』 

*ちくまプリマー新書(2017)
*千野帽子(著)
人は物語を求め、物語を作りながら生きている。ここでいう物語とは創作等の表現行為に限るものではなく、日常の中で意識的・無意識的におこなう思考も指している。例えば人は不可解な現象に遭遇すると「何故?」という疑問を抱き、さまざまな因果関係を拵えて即席の答えをだそうとする。しかし、その思考過程ではしばしば誤謬が生じ、物語の体をなした仮説に至る。こうした物語化の過程に言及し、物語論と並行して論ずる点が『人はなぜ物語を求めるのか』と題された本書の特色だろう。古今東西の文学・哲学から現代の事件まで扱う豊富な題材も面白い。難解なテーマを扱いながらも新書ならではの平易な文体で綴られており、巧みな情報の取捨選択がなされているところも含めて非常に優れた手引きとなっている。また他者に影響を与えがちなコントロール幻想の仕組みもロジカルに説いているので、日常生活はいわずもがなSNSにおけるユーザー心理を見抜く目も養われてお得だ。余談ながら発売当時以来久しぶりに読み返したのだが、新たに発見できたことがたくさんあった。

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