『ありふれた教室』頻発する窃盗事件が問題となっているドイツの中学校で、新任の教師が生徒への疑いを晴らすために取った行動が予想外の波紋を広げていくというあらすじ。
舞台となっている学校がゼロ・トレランス方式を導入している(ドイツには公立校への導入が定められている州があるらしい)ので、窃盗事件の捜査が結構えげつない。男子生徒だけ教室に残して財布の中身を確認するとか、生徒を教師が取り囲んでチクリを強要したりとか、人権侵害の区域まで踏み込んだ犯人探しがされている。しかも万が一窃盗犯とみなされた場合のペナルティもその後の人生に影響を及ぼしかねないくらい重い可能性がある。そんな状況で自分の生徒が疑われていたら疑いを晴らしたくなるのが人情というもので、主人公は犯行の瞬間を捉えようと盗撮を試みます。結果として犯行の瞬間らしきものは撮れるんですが、その行動によって主人公がどんどん追い詰められることになっていきます。
「子供には学校と家しか居場所がないから追い詰められやすい」みたいなことがよく言われますが、この映画は学校以外の場所での出来事を一切映さないことで、主人公の逃げ場所のなさが強調されているのがいいなと思いました。
また、同僚との会話や授業のシーンなどちょっとした場面にも緊張感があって良かったです。