私にとっての理想の父親って、『泥の河』の田村高廣のような人。人の悲しみや罪深さなどを知っていて、他者の気持ちを思うことができる人。
あと、『バティニョールおじさん』みたいに、普段うだつも上がらず、気が小さくて、小さな自分の生活をただ大切に暮らしているような人が、いよいよ追い詰められた時にギリギリ自分の良心に従って、本人も嫌々なんだけど、頑張って活躍しちゃう映画が好き。
『タクシー運転手』のソン・ガンホとか…比較的最近観た映画では『目撃者』のイ・ソンミンとか。すごい惚れる。
良くも悪しくも、とても人間的で、嘘がない感じが良いんだろうな。観念とか言葉とかではなく、正直なその人の本質が見える。
因みに『目撃者』のレビューを見てたら、イ・ソンミン演じるお父さんが弱くてイライラしたって言うのが多くて驚いた。本当に皆んなどこを観てるのか。あれは、お父さんが情けない話ではなくて、警察が情けなくて頼れない話。もちろん警官も頑張ってはいるんだけど、どうにも頼れるほどの信頼は置けない。それを見抜いている(自分の頭で考えている)お父さんがまず偉いし、彼は常に警察よりも一枚上手でそれが家族を守る。何故、ただの市民の彼がプロの警察よりも一枚上手なのか。それは家族を思う気持ちがその一枚分勝っているから。そう言う話。