多くのひとが集まるオーディションで男性の参加者がひとり帰ってしまい、あの人に与えられてた課題君が演じていいよと審査員のひとりに言われる。ピンクの稽古着から普段着のメンズ服に着替えている途中で「そんなことはいいから」と呼ばれたので「それなら質問させてください。わたしが男性役を演じるということは審査員全員に共有されていますか」と尋ねる。金髪で青々とした剃り跡の若い審査員から返ってきた言葉は納得できるものではなかったが「今日はオーディションの途中で質問の機会をいただけてよかった。男性の役も演じる役者としての難しさはそのままトランスジェンダーの生きづらさに繋がっていると思います」 と言えて満足する。 #夢