安田菜津紀・金井真紀『それはわたしが外国人だから? 日本の入管で起こっていること』
日本に住む外国ルーツや外国籍である4人の方がそれぞれ直面した、日本での「壁」の体験を通して、入管施設のこと、難民のこと、差別・偏見とはどういうことであるのかが整理され、包括的に示されていた。
子供へ向けて分かりやすいように漢字には全てルビが振られ、文章にも構成にも工夫が随所に見られる、すごく良い本だった。
世間からの刷り込などで陥ってしまっている思い込みや思考の罠を、丁寧に解きほぐすように進むのがとても良かった。
この本を読むと「どんな立場の人にも人権は有る」という大事なことが自然にハッキリと分かるので、この本をそのまま教材にしてぜひ小学校などで教えてほしい……!
安田菜津紀・金井真紀『それはわたしが外国人だから? 日本の入管で起こっていること』
「日本で働いて貢献してくれている人たちだから人権を守ってあげよう」というような、「役に立つ人だから大切にする」という考えが何故いけないのか、そしてそれは裏を返せば「役に立たない人は国に帰れ」であることを丁寧に説明し、テーマ毎に言葉を変えながら繰り返し伝えてくれている。
それと技能実習生制度の問題や、関東大震災での虐殺にも触れ、「外国人は危険なことをするに違いない」という日常の中の差別が暴力に繋がってゆくこともしっかり書かれていた。
子供たちに何をどのようにして伝えるのか、本当に考え抜いて形にしてくれたのだなと感じる。
最後には金井真紀さんによる、「難民・移民フェス」のエッセイも収録されていた。金井さんは難民・移民フェスを始めた実行委員のお一人で、フェスの成り立ちやその経緯、第1回開催の当日の様子などを素敵な絵とともに知ることができた。
第5回難民・移民フェスは、7月20日(土)に練馬区の平成つつじ公園で開催とのこと。
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