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ケイセン・カレンダー『フィリックス エヴァー アフター』(武居ちひろ訳)を読みました。

こんなに瑞々しくて、眩しいほどに真っ当な青春小説を初めて読みました!
家族や友人への複雑な感情と関係、将来への不安、そしてジェンダー・アイデンティティに葛藤しながら、答えを探すフィリックスに胸が熱くなる。

アウティングを受けたフィリックスの苦しみ、そして無知との衝突に心抉られるのだけど、「人は誰でも過ちから成長できるはずだから許すべきなのかもしれない、しかし差別者を許さない」ことを選ぶフィリックスの決断が描かれており、ここは本当に重要だと思う。
自分の尊厳を犠牲にするべきではないこと、自分を守る選択も、絶対に尊重されるべき。

主人公をはじめ、非白人のクィアの登場人物がこんなにも当たり前にたくさん出てくる物語が読めて、すごく嬉しい。

『フィリックス エヴァー アフター』

それとフィリックスが行うインターネット上のある行為が、決して許されない行為であると、誤魔化さずにしっかり向き合っていることに心底安心した。

「キッカケはどうあれ、結果的に恋が芽生えてハッピーならOKでしょ!」というような物語が多くある中で、それはやはりダメなんだと、それでは健全な人間関係は望めないのだと示してくれた。

『フィリックス エヴァー アフター』は、トリガーワーニングがしっかり明記されていたのも良かった。
その記載方法も素晴らしい配慮の仕方だった。

冒頭に「精神的な負担となりうる描写が含まれます」という注意書きとともに、具体的な要素を記載した巻末のページを案内している。すごく上手い!

同じマグノリアブックス(オークラ出版)から出ているエマ・ドナヒューの『聖なる証』でも、注意書きが冒頭にちゃんとあって安心できたし、トリガーワーニングは本当に大事だと思う。

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